エリート外科医といいなり婚前同居
「いいよいいよ。俺の勝手で結婚適齢期の娘にお節介焼きたかっただけだから。娘も後で顔を出すって言ってたから、挨拶くらいはしてやってくれ」
「はい、もちろんです」
「じゃ、あとは好きに過ごしてくれていいから。千波さんも遠慮しないで飲み食いしていって」
田所さんはそう言い残し、他のゲストの元へ向かっていった。思っていたよりずっと気さくそうな男性だったので、私はひとまず胸をなでおろす。
「よかったですね、怒られなくて」
「ああ。俺たちのこと、そこまで深く突っ込まれなかったしな」
礼央さんも肩の荷が下りたようで、表情がいくらかリラックスしたものになる。
「さて、お言葉に甘えてなにか食べよう。千波、飲み物はなににする?」
そう聞く彼の視線の先には、小さなバーカウンターがあった。そこでなんでも好きなお酒を作ってもらえるらしい。
「礼央さんは?」
「俺は運転があるから、適当なソフトドリンクをもらうよ」
彼ならそう言うと思った。たとえ運転がなくたって、病院からの呼び出しに備えていつも飲まない人だから。