エリート外科医といいなり婚前同居

あの桃色聴診器……やっぱり、イカガワシイことに使っているんじゃないだろうか。

暁さん本人は彼女なんかいないと言っていたけど、遊び相手の女性なら何人もいるとか、そういうオチなんじゃない?

だとしたら私、かなり危険な人に雇われているんじゃ……。

そこまで思い至り、愕然とした時だった。いつの間にそばに来ていた暁さんが、私の顔を興味深そうに見つめていて。

「なにを百面相してるの?」

たった今危険人物に認定した彼の接近に、私は息を呑んで首を横に振った。

「い、いや別に、何でもないです! 朝食! 朝食の仕上げしてきます!」

逃げるように彼の寝室をあとにし、キッチンに駆け込むと激しく鳴る胸を押さえて深呼吸をした。

落ち着くのよ千波……。暁さんがたとえドSの女たらしで、寝室に妖しげな聴診器を隠しているとしても、私は父の紹介でここへ来た家政婦。

いくらなんでも、医者として仕事で繋がりのある相手の大事なひとり娘に手を出すなんてこと、しないでしょう。

彼は医者としては間違いなく有能なんだし、そんな彼の乱れがちな生活をサポートするのが私の役目。

さっき湯たんぽ代わりにされたのも、その一環と思えば……おかしくない、よね?


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