エリート外科医といいなり婚前同居

「しかも、その医者は有能で、かなりの高給取りだ。下手に一般企業に就職するより、手当もいいかもしれん。あ、あともうひとつ。そいつ、結構イケメンだぞ?」

父はわざとらしく声を潜め、もっさり顔でにやりと微笑んだ。

イケメンねぇ……。

父は、今まで勉強勉強で男女交際の一つも経験してこなかった私を、ときどき心配しては余計なおせっかい発言をする。

そりゃ、私だって恋愛に興味がないわけではないけど……今まで縁がなさすぎたから、まったく未知の世界だ。自らすすんで足を踏み入れたいとも、特に思わないし。

だから今は、その人がイケメンかどうかより、性格的に仕事がしやすい相手かどうかの方が気になる。

「顔がいいのはわかったけど、そのお医者さん、中身はどんな人?」

「まぁ、近々連絡するから、とにかく会ってみればいい。変なヤツじゃないことは俺が保証する」

「はーい」

若干デリカシーはないことは別として、父の人を見る目は信頼している。そんな父のお墨付きなら、まともな人なのだろう。とりあえず、働き口がありそうでよかった……。

さっきまでは人生詰んだと思っていたけれど、捨てる神あれば拾う神ありって、本当みたい。

ありがとう、父の知り合いのお医者様……。

まだどんな人物なのかも知らないうちから、私は勝手に彼を神のように崇め、深く感謝するのだった。


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