エリート外科医といいなり婚前同居
まわりくどい言い方がすぐには理解できず、オウム返しをしながら頭の中でかみ砕く。
そんな私に、雅子は「こう言えばわかる?」とにっこり笑って、今度はストレートな言い方をした。
「彼、千波に好意があるんじゃないかってこと」
「えっ……」
暁さんが、私に好意……?
その仮説をまったく想定していなかった私は、一瞬フリーズした。
「だって、そう考えたらシンプルじゃない。甘いことを言ったり、手を繋いだりするのは、千波のことが好きだから。その理由が一番しっくりくると思わない?」
雅子はサラッと言うけれど、私には到底そんな理由だとは思えない。
「いやいやいや……だって、彼のところで家政婦をするようになったのは昨日からだし、初めて顔を合わせたのもその前日だよ? 年だって九個も違うし」
「ひと目惚れってこともあるじゃない」
私は首を勢いよく左右に振った。
「雅子くらい美人ならまだしも、塩顔の私にひと目で惚れられるような引力ないよ……」
加えて、暁さんの方は超がつくほどのイケメンなのだ。連れて歩くなら、自分と釣り合うような、目鼻立ちのくっきりした麗しい女性がいいと思うに決まっている。