エリート外科医といいなり婚前同居
雅子の個性的な食レポはいつものことだけど、うっかり掘り下げようものならものすごい熱量での解説が始まってしまうので、私は華麗にスルーして本題に入った。
「あのさ雅子、実は私、就職が決まってね?」
「えっ、すごいじゃん。おめでとう~! 念願の病院勤務?」
「いや、それが……お医者様にお仕えする仕事ではあるんだけど……」
私は、父の紹介で暁さんという医者の家政婦になったこと、そしてその暁さんが、ことあるごとに甘い言動で私を振り回すことを雅子に話した。
雅子は興味津々に耳を傾けてくれたけど、話を聞き終えると難しい顔で考え込んでしまった。そしてしばらくすると、顔を上げて語りだす。
「私って微生物マニアの変な女だし、全然参考にはならないかもしれないけどさ……」
「ううん、そんなことないよ、言って?」
雅子は小さくうなずくと、テーブルに頬杖をつきながら私をまっすぐ見つめてこう言った。
「その暁さんって人がどんなにモテる男の人でも、少しも気のない女の子には、思わせぶりな言動しないんじゃないかなぁ」
「少しも気のない女の子には、しない……」