エリート外科医といいなり婚前同居
「とはいえ、だいぶ先の話だ。拓斗くんはまだ学生だし、俺だってまだくたばるつもりはないからな」
「なんて言って、無理したらダメだよ? お酒もほどほどにね」
「……わかってる。でも、今夜は飲んだっていいだろ? 可愛い娘が帰ってきたんだ」
「あのねえ……私、夕方には帰るよ。暁さんの夕飯を作らないと」
腰に手を当て呆れた調子で言うと、父は少しだけ考え込んですぐ顔を上げた。
「じゃあ昼でいい。なにかうまいもの作って、三人でビールでも飲もう」
「いえ、僕は……」
遠慮する拓斗くんに、私は父に聞こえないようにコソッと告げる。
「もしよかったら付き合ってくれないかな? 私ひとりで相手するのは骨が折れそうだし……」
その言葉で、拓斗くんもようやく緊張が解けたようにふっと笑って、「わかりました」と頷いてくれた。
近所のスーパーでキャベツと豚肉、切りイカや桜エビなどを調達し、みんなで協力して作ったのはお好み焼き。
ホットプレートを出してワイワイ楽しみながら焼き、ビールも進んで父は上機嫌。
食べ終わると、父は日頃の疲れもあってかソファで眠りこけてしまい、その間に拓斗くんと協力して食器やホットプレートをキッチンに下げた。