雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません

〇総合病院(夕方)

陽和の母が入院する病院。
検査の結果、肝臓の数値が悪くしばらく入院することになったが、起き上がれるほど回復している。
4人部屋で、お喋り好きなおばさんたちが集う病室のせいか、カーテンは開けっ放しだ。

母「それで、今日は早く帰されたの?」
陽和「居てもすることないし。たまにはゆっくりお母さんのお見舞いに行きなさいって」
母「良い会社でよかったわね」
陽和「うん」
母「ね、ね、噂で聞いたんだけどAMAMIYA FOODSの社長さんってすごいイケメンなんだってね。どれくらい? 須田将暉よりイケメン? お母さん今度挨拶しなきゃね!好きなものは何かしら?」

ウキウキした様子の母。
陽和は「また始まったよ」とばかりに溜息を落とす。

陽和「いい加減、そのミーハーなところを直しなよ。だいたい、体を壊したのはね、夜な夜な某弾少年団のDVDを見てたからだよ!寝不足で働けるほどもう若くないんだからね」
母「だって~デデがカッコいいんだもん」
陽和「元気になるまで、K-POP禁止!」
母「そんなぁ~」
同室のおばさん「ふふふ、しっかりした娘さんねぇ」
陽和「よく言われます」
同室のおばさん「仲が良くて羨ましいわぁ~。いつも来る娘さんも優しいしね」
母「そうなんですよぉ」

嬉しそうに笑う母。
陽和は不思議に思い、小声で「和奏がお見舞いに来たの?」と尋ねた。
母は微笑んだまま、「匠のことよ」と返した。


< 33 / 79 >

この作品をシェア

pagetop