雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
4章 まさかの〇〇……!
〇雨宮のマンション(朝)

なぜか、雨宮のベッドで眠っていた陽和。
隣では雨宮がスヤスヤ寝息を立てている。
慌てて起き上がった陽和は、自分の姿を確認する。
見覚えのないTシャツを着ていた。
恐る恐るTシャツの襟元を引っ張り、中を覗いた陽和は思わず悲鳴をあげた。

陽和「うわぁぁぁぁ(下着がない!!)」

え、なんで? なんで着てないの!?(パニック状態)
というか、下はどうなんてる……?
掛布団をめくり、下を見ると、

陽和「ギャー!!(履いてない!履いてない!)」

どうやらTシャツ1枚で寝ていたらしく、陽和は完全にパニックになる。
すると、寝ていたはずの雨宮がもそりと動いた。
そんな彼は上半身、何も着ておらず、陽和はまた悲鳴をあげる。

雨宮「……うるさいな、さっきから」
陽和「しゃ、社長! これは、どういう……」
雨宮「なんだ、覚えていないのか」
陽和「お、覚えてるって何を!?」
雨宮「……―――」
陽和「ちょっと!寝ないで教えてくださいよ!」
雨宮「言ってもいいのか」
陽和「言わなきゃ分かんないですよ」

寝転んだ態勢のまま、肩肘をついて上半身だけを起こした雨宮はニヤリと笑う。
程よく筋肉がついた上半身は艶めかしく。
髪を掻き上げる仕草が妙に色っぽい。

雨宮「昨日のひよこは、大胆だっ……」
陽和「いやー!まって、言わないでー!」

**

場所をリビングに移し、雨宮は珈琲を飲んでいる。
すでにYシャツ、スラックスに着替え、すこぶる機嫌が良さそうだ。
一方、陽和は雨宮の朝ごはんを用意しながら頭から背中にかけて黒いモヤモヤを背負っている。

雨宮「だから、酔っぱらった状態で家に帰すわけにいかなかったと言っただろ」
陽和「そうですけど……」

雨宮曰く、昨日のパーティ会場で酔っぱらった陽和を兄弟たちがいる家に連れ帰るのは忍びなく思い、仕方なくマンションに連れてきた。
そこでも酔いがさめない陽和は、ドレスを脱ぎ始め下着も取ろうとしたため、雨宮が慌てて自分のTシャツを被せベッドに放り込んだ。
――と、いうのが昨日の真相らしい。

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