大嫌い、だから恋人になる
こいつは最低な奴で、俺は小さい頃から、こいつのせいで散々な目に合ってきた。

父親の権力を盾にして、いつも俺に無理難題をいつも言って来た。白崎はただ嫌がらせする為なのか、俺がその時、一番大切にしてる物を奪っていった。オモチャだったり、友達だったり、プレゼントだったりだ。こいつは俺から奪った後、飽きたら俺に投げつけるようにそれを返した。

でもこいつが使ったオモチャは全部汚れた気がして、捨ててしまった。友達も、俺を裏切って白崎の所に行った奴なんて嫌だった。両親から貰ったクリスマスプレゼントも、白崎が一度でも触ると、俺には全部、色あせて見えた。

白崎がちひろを見た時、ぞっとした。白崎がちひろみたいな地味な子に興味を持つとも思わなかったし、俺はちひろをブス呼ばわりして、興味の無い態度を取った。

俺は白崎にちひろに近付いて欲しく無かった。少しでもちひろに触れて欲しく無かった。何をしても白崎から守りたいと思った。

俺は今まで一番、大切な物を奪われてきて、それは仕方ないことだと諦めてもいた。

でもちひろだけは諦めたくなかった。その時、俺はずっとこのちんちくりんを大切に思ってことに気付いた。
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