大嫌い、だから恋人になる
白崎をやり過ごし、ちひろと別れた後も、ずっとちひろのことを考えていた。

白目を剥いたジェットコースターの写真まで可愛く見えるのだから不思議だった。

俺はいつからちひろを好きになったんだろう?

多分、俺はかなり前から、あのちんちくりんを好きになっていたんだと思う。

もしかしたら最初から好きだったのかも。

だからちょっかいを出したくて、ニセモノ彼女を頼んだのかもしれない。

自分では全く気付いて無かったけど。


でも俺たちはニセモノの関係で、あいつも俺を嫌ってたから、素直になるわけにはいかなかった。表では嫌いだと言って、でもちひろに好きになっても貰いたくて、あんな奇妙な関係になったんだと思う。優しくしたり、逆にバカにしたり・・・そして俺はそれに文句を言いながら楽しんでいた。

それをちひろがどう思うかなんて考えたことも無かった。

もしかしたら傷付けたかもしれない。

ひょっとしたらニセモノ彼女なんて、人の心を試すようなこと、してはいけなかったのかもしれない。

好きな人を無意識の内に傷付けたと思うと、後悔しか沸いてこなかった。

バカなことだったし、今までの俺はきっと最低の人間だったんだ。

ちゃんと謝りたいと思った。そしてもしちひろが許してくれるなら、ちゃんと告白しようと思った。



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