大嫌い、だから恋人になる
ちょうどその時、春香さんが留学先戻って来た。

春香さんが戻って来るのは、まだ一月は先だと思っていたし、何も聞いても無かった。

でもこれは悪く無いと思った。

俺は本当はちひろのことなんて好きじゃなくて、ただ春香さんがいないのが寂しいだけなのかもしれなかったから。

慌てて告白して取り返しが付かなくならなくて良かったと思った。

久しぶりに会った春香さんはやっぱり綺麗だった。モデルみたいだったし、歩き方一つ取っても、絵になっていた。

「でもどうして?帰国はまだ先じゃなかった?」

「ええ。でも少し予定を変更したの。ごめんなさいね。急だったからちゃんと連絡出来なくて」

「それは別に良いよ。でも驚いた」

「私が戻って来て嬉しい?」

「もちろん、ずっと待ってたから」

「そう、なら良かった。ひょっとして本物より、ニセモノの彼女の方が好きになったかと思ったから」
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