大嫌い、だから恋人になる
秋山君は自分の試合が終わると女子の方の試合を見に来た。
みんな緊張したのがわかる。
だからみんなボールぽろぽろ落としたり、ドリブルしてたら足で蹴っちゃたりした。
私はさっきバカにした様な表情で私を見た秋山君を思い出した。
秋山君は意地悪だから、きっとみんなのこと、バカにしてるんだろうな、と思った。
「大丈夫、落ち着いて行こう」
「良い感じ、良い感じ」
秋山君はミスする度にみんなを励ましてた。
あれ?どうして?私の時と違う。
もしかしたら、さっきバカにされたと思ったのは、気のせいだったのかな?
「ちーちゃん、試合だよ。早くこっちに来て。始まっちゃう」
なっちゃんに呼ばれて私は慌ててコートに入った。
さっきの試合は全然ボールに触れなかったのに、今回に限ってボールが廻ってくる。
私は下手だから、全然ボールが取れない。
でも同じ様なミスしてた子をさっき励ましてたから、私のことも励ましてくれると思った。
なのに秋山君、私がミスした時だけ、全然励ましてくれない。それ所か、私をバカにするみたいに笑う。
これでわかった。秋山君、私のこと嫌いなんだ。一度も喋ったこと無いのに。良くわからないけど、私のこと嫌いなんだ。