Sucre' amour
一緒にカフェRに二人は入る。やはりここでも女性客からの視線がすごく、夢芽はうつむいた。

「あちゃ〜……。とりあえず、奥に入って」

びしょ濡れの夢芽と一緒にいるフランシスを見て、マリーがにこにこ……ではなくニヤニヤ笑いながらカフェのスタッフルームに案内した。

「ごゆっくり〜!!」

それほど広くはないスタッフルームにマリーは夢芽とフランシスを入れると、笑顔で仕事に戻って行った。

「と、とりあえずこれで拭いてください」

フランシスがタオルを夢芽に渡す。夢芽は、「Merci beaucoup(ありがとうございます)」と言って柔らかいタオルで体などを拭いた。

「すぐに温かい飲み物、持ってきますね」

そう言い微笑むフランシスに、夢芽は「ごめんなさい」と言った。それしか、言う言葉が見つからない。

「どうしてですか?」

フランシスは優しく微笑みながら言う。夢芽は泣きそうになるのを堪え、言った。

「私、いつもドジばかりで……。普段はあまり気にならないんですけど、フランシスさんの前ではしっかりしていたくて……。いつも、迷惑かけてばかりですし」
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