ヴィーナスパニック


タイプは全く正反対だけどそんな美貌に恵まれたヴィーナス少年が二人も、しかも同学年にいるんだから奇跡としか言いようがない。


「浅葱くんは四組かぁ、隣のクラスだね。櫂くんは特進科だから、どう足掻いても私たちと同じクラスになることはないもんね……。すみれ、どうするの?今年が勝負だよ?」


二大イケメンのクラスをチェックしたさなちんが、私の方に向いて小首を傾げる。
私たちは三組、浅葱くんは四組。
そして櫂くんは普通科の私たちとは違って特進科だから、九組だった。

周りの女子達も、四組と九組になった子達とそうでなかった子達の落胆の差はすごかった。
ダメだった組が、そのまま職員室に殴り込みにいくんじゃないかってくらいだった。


「うーん……そう言っても、相手は櫂くんだからね。私なんか無理だよ。見てるだけで十分」


首を横に振って、さなちんに諦めの意を示す。

私とさなちんだけの、秘密。

私は、櫂くんが好き。

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