仁瀬くんは壊れてる
「小糸井って変わってる」
「へ?」
「ギャップ狙って選んだのに。まさかのハマり役とは」

 そういえば、無謀にもわたしをマッドハッター役に推薦したのは小栗くんだったよね。

「フツー、女子って笑われて喜ばないだろ」
「なんで? 舞台の上ではわたしはマッドハッターなんだから。男だよ」

 小栗くんがニヤッと笑いわたしに帽子を被せた。

「オモシロ」

 じっと見つめられ、本当に可愛いなと思っていたら――
「だめだよー。花には王子様がいるんだから」

 沙羅が話しかけてきた。

「えっ。彼氏いるの」

 意外そうな顔をされた。

「彼氏であり王子であり未来の旦那様だよ〜」

 答えたのは、沙羅だ。

「どんなやつ? この学校?」
「ナイショ〜」
「楠田に聞いてないんだけど」
「言ったら大騒ぎになるよーだ」
「芸能人とか?」
「ハイスペック男子とだけ言っておこう」
「俺もハイスペックだけど」
「自分で言うな」

 小栗くんはバスケ部だ。
 身長180近くある可愛いアリス、というだけで話題性が抜群である。

「たしかに小栗は学年でもベスト3には入るイケメンだけど。諦めなさい」
「そう言われると。余計に火がつく」
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