強すぎる彼女と優しすぎる彼

「大丈夫？具合は？」
「そんなにすぐは感じないよ。寝よう。」
佳子は心配そうな龍仁にそう伝えて布団に入った。すぐに電気を消して龍仁も布団に入ってくる。龍仁は佳子が注射をした部分に自分の手をのせて優しくさすった。
「大丈夫。こんなのへっちゃらだから」
「うん。ありがとうな。」
龍仁はどんなに治療が大変そうでも、佳子が体調を崩しても謝る代わりにありがとうを言うようにしている。

不妊治療の原因は自分だと責めている佳子がそれ以上罪悪感を感じないようにという龍仁なりの配慮だった。