My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

「そうだよ! だって僕たち、3日でここまで来たんだ」
『3日!?』

 ラウト君の得意気なセリフに私達3人の声が見事にハモった。
 飛行機などあるはずの無いこの世界で、一ヶ月かかる距離を3日で……!?
 そういえばラグもどうやってライゼちゃんたちがこの国まで来たのかを気にしていた。
 やはり、何か裏技があるのだろうか。

(さっき、ライゼちゃんは空は飛べないって言ってたし……)

 ラグも眉をひそめてラウト君に訊く。

「船、じゃないのか」
「うん! 船なんかよりずっと速いしカッコいいんだ!」
「カッコいい?」
「快適とは、言えんがな……」

 後ろでそんな低い声が聞こえた。ヴィルトさんだ。
 彼は目を瞑ったまま何か嫌なことを思い出したように深く眉間に皺を寄せていた。

「?」
「僕は好きだけど、お父さんは苦手みたい」

 苦笑いを浮かべてこっそり私達に言うラウト君。
 ……さっぱりわからない。
 一体彼らはどんな乗り物でここまで来たのだろうか。――と、

「カノンさんのお気持ちはどうですか? 私達の国へ、来ていただけますか?」

ライゼちゃんが再び祈るように、その赤い瞳を私に向けていた。
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