My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
予想通り、皆酷く驚いた表情。
中には一緒に歌うという意味がわからなかったのか、ただポカンと口を開けている子もいる。
ブライト君がそんな子供達の反応を見て焦ったように私の背後へと視線を向けた。
その視線を追って振り向くと、ライゼちゃんも戸惑ったように私を見ていた。
「いいよね、ライゼちゃん」
「は、はい」
それでも頷いてくれてホッとする。
「良かったら、ライゼちゃんも一緒に歌ってね!」
彼女のびっくりした顔を確認してから私は再び子供達の方に向き直った。
すると子供達の後ろに新たに二人が加わっていた。ラウト君とヴィルトさんだ。
ラウト君が私に大きく手を振ってくれていた。
私はそれに笑顔で答えてから口を開く。
「歌ってね、基本『ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ』の音で出来ているんだ」
分かりやすく音階が上がっていくのを指で表しながら言うと、皆その指を目で追ってくれた。
髪に変化は無い。
やはりちゃんとした“歌”になっていないと変わらないのだろうか。
それを何度か繰り返しているうちに、私の声に合わせ口をパクパクと動かす子が出てきた。
頃合いを見計らって、思い切って言ってみる。
「じゃあ、今度はみんなの番! 今のマネ、してみてくれるかな?」