My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
主人が作ってくれたピラフに似た料理を食べていたときだ。
「銀のセイレーンが……」
耳に飛び込んできた単語にびくりと手が止まる。
後ろの客たちだ。
「デマじゃねーのか?」
「や、それが本当らしいんだ。昨日までグラーヴェにいた知り合いに聞いたんだからな」
「でも捕まえたんだろ?」
「それがな、一度捕まえたんだが逃げられちまったらしい」
そのとき足にコツンと何かが当たり私は呪縛から解かれたようにラグに視線を向けた。
知らず嫌な汗が出ていた。
「構うなアホ」
ラグがこちらを見もせずに小さく言った。
(そ、そーだよね、普通にしてなきゃ……)
私は再び料理を口に運んだ。
その間も背後の話は続く。
「そーいや昼間珍しく兵が巡回してたな。そのせいか」
「銀のセイレーンなぁ……。この国に現れたってことは、オレ達ももう終わりってことか?」
「まさかこんな小さな町まで手ぇ出さないだろ。狙うとしたらまずグラーヴェ城だな」
「怖ぇ怖ぇ。それって女なんだろ? どんな女なんだ」
「銀の髪で、異国の服を着ているとしか……」
あんなに美味しいと感じた料理も今は味がわからない。
(兵士がもうここに来てたんだ……)
もしかしたらまだいるかもしれない。
そう思ったらスプーンを持つ手が震えた。――と。
ガタンッ
その音に驚いて見るとラグが椅子から立ち上がっていた。
「ご馳走さん。勘定頼む」
(な、なんだ……)
ホッとしながらも心臓の音がドクドクと鳴り止まない。
「お前も早く食っちまえよ。夜の内にまだ行きたいトコがあんだ」
「う、うん!」
私は残っていた料理を早急に平らげた。
「ありがとうございました~」
主人の声に見送られながら私たちはその店を後にした。
「銀のセイレーンが……」
耳に飛び込んできた単語にびくりと手が止まる。
後ろの客たちだ。
「デマじゃねーのか?」
「や、それが本当らしいんだ。昨日までグラーヴェにいた知り合いに聞いたんだからな」
「でも捕まえたんだろ?」
「それがな、一度捕まえたんだが逃げられちまったらしい」
そのとき足にコツンと何かが当たり私は呪縛から解かれたようにラグに視線を向けた。
知らず嫌な汗が出ていた。
「構うなアホ」
ラグがこちらを見もせずに小さく言った。
(そ、そーだよね、普通にしてなきゃ……)
私は再び料理を口に運んだ。
その間も背後の話は続く。
「そーいや昼間珍しく兵が巡回してたな。そのせいか」
「銀のセイレーンなぁ……。この国に現れたってことは、オレ達ももう終わりってことか?」
「まさかこんな小さな町まで手ぇ出さないだろ。狙うとしたらまずグラーヴェ城だな」
「怖ぇ怖ぇ。それって女なんだろ? どんな女なんだ」
「銀の髪で、異国の服を着ているとしか……」
あんなに美味しいと感じた料理も今は味がわからない。
(兵士がもうここに来てたんだ……)
もしかしたらまだいるかもしれない。
そう思ったらスプーンを持つ手が震えた。――と。
ガタンッ
その音に驚いて見るとラグが椅子から立ち上がっていた。
「ご馳走さん。勘定頼む」
(な、なんだ……)
ホッとしながらも心臓の音がドクドクと鳴り止まない。
「お前も早く食っちまえよ。夜の内にまだ行きたいトコがあんだ」
「う、うん!」
私は残っていた料理を早急に平らげた。
「ありがとうございました~」
主人の声に見送られながら私たちはその店を後にした。