暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。

背中文字ゲーム。

「菜乃の席はー、一番右の列の前から3番目か」
「そうです、けど……」

下ろしてはもらえないんですね。

……あれ?
なんで、私、男の人に触られてるのに、拒絶反応が出ないんでしょ?
冷静になると、不思議です。

「前の奴誰?」
「西園百合さんです」
「隣は?」
「雨沢賢人(あまざわ けんと)くんですよ」
「ふーん…後ろは?」
「そこは空席なんです」
「へぇ、なんで?」
「以前座っていた方が転校してしまって。席替えをしていないからそのままなんですよ」

仲が良かったのに、とても残念でした。

「やっぱ、こっちこよっかな…」
「…?何か言いましたか?」
「いや、何も。それより、菜乃、平気なの?」
「何がです?」
< 70 / 90 >

この作品をシェア

pagetop