加納欄の受難 シリーズ1 シーズン1
それに、大山先輩はあたしのことなんて、何とも思ってないのに、たかがあたしの事で来るわけないじゃない!



何で、勝手なことするの?



来ないに決まってるじゃない!



大山先輩に聞かなくたって、答えがでるわよ!!



「欄。これが最後です。中国へ帰りますよ」

「・・・御1人でどうぞ」

 冷ややかに答えた。

「そうですか。それなら仕方ないですね。せっかくなら五体満足に戻らせたかったですけどね」



武術では敵わないけど、暴力には屈しないんだから(>_<)!



 あたしは、身構えた。

 師範は、突然あたしの喉をトトンと押した。

 一瞬息が苦しくなった。

「(なにを!)」

 話したつもりだった。



えっ?



「(師範?)」



声が、出てない!?



 力一杯声を出しても、それが音となって聞こえてこなかった。

「後で、目と耳もやってあげますよ。そこまで不自由になれば、逃げ出したくともさすがに困るでしょう」

「(ちょっと!)」

「時間がたてば声は出せるようになりますよ。その頃には中国に着いてるかもしれませんが」

「(戻して!)」

 あたしは、師範の頬をおもいっきり叩いた。

「話せないからって暴力に頼るのはよくないですよ」

 そう言って、師範もあたしの頬を、おもいっきり叩き返した。

 あまりの強さにあたしは、車のドアにふっ飛んだ。

 後頭部が窓ガラスにぶつかった。

 脳震盪をおこすかと思った。

「欄、私から逃げたら、あの刑事を最初に殺ることになりますよ。取り引きが終わるまでは言う通りにしててもらいますよ」



取り引き?



殺る、って。



・・・大山先輩は来ないって言ってるじゃない!



来るわけないじゃない。



でも。



・・・もしも、来たら・・・?



師範は、どうして来ることを前提で話すの?



「あの刑事の運命は欄の態度で決まりますからね」



あたしのことなんて、何とも思ってないのに来るわけないじゃない!



さっきの電話のやりとりもそうだったんでしょ?



でも・・・(__)



 師範が、キスをしてきた。




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