加納欄の受難 シリーズ1 シーズン1
「欄!大丈夫か!?」

 師範はわざと首筋ばかり狙う。

 先輩に聞かれないように、必死に声をださないよう唇をかんだ。

「ここが、好きでしたよね」

 師範がわざと優しい声で言う。

 あたしの嫌がる声が聞こえるように、師範はケータイをあたしの口許近くにかざした。

 身体中がゾワゾワしまくっていた。

 全身鳥肌である。

 声を出さないでいるのがやっとだった。

 師範は、そんなあたしの様子を楽しんでいるかのようだった。

「てめぇ。欄に何してる!オイッ!」

「お楽しみのところを、毎回邪魔してくれますねぇ、刑事さん。欄の吐息が聞こえないじゃないですか。そそられるのに」

 師範があたしを見つめたまま大山先輩と会話をはじめた。

 会話をしているものの、師範の瞳は相変わらず冷たいままだった。

「欄に何かしてみろ!ただじゃすまねぇぞ!」

「・・・刑事さん、本心ですか?それとも義務からですか?」



え?



「先程みたいな態度は、好きではないので、はっきりさせておきたいのですが」



先程?



あたしが気を失ってる時に、やっぱり何かあったの?



「欄が迷惑なのであれば、私が連れて行きますから気にしていただかなくて結構ですよ」



なに?



なに言ってるの?



迷惑?



あたし、大山先輩にとって迷惑な存在なの?



「なにほざいてんだよ!てめぇには関係ねぇだろうが」

「そうですか?では欄は好きにさせてもらいます。そうそう、よかったらカイタヤビル廃墟まで来て下さい。欄と最後の別れでも楽しんだらどうですか?」

 一方的に言うと師範はケータイを切った。

「何勝手なこと言ってるんですか!」

 あたしは、叫んだ。

「欄も気持ちの整理がついていいじゃないですか」



何を言っているの?



何の話しをしているの?



理解出来ない・・・(>_<)



あたしの知らないとこで、何の話しをしたの!?



あたしと最後の別れを楽しむ?



あたしは大山先輩と別れないわよ(>_<)!



日本にいるんだから!!



それに・・・。



< 32 / 46 >

この作品をシェア

pagetop