加納欄の受難 シリーズ1 シーズン1
 あたしは、ゴロゴロゴロと転がりうつ伏せになって、肩で息をする。

「(ハァハァハァ・・・)」

 肩で息する声さえも今は出なかった。

「麟さん、疑うわけではないがこちらも確かめさせてもらっても構わないですか?」

 田崎があたしと師範を見比べながら話した。

「結構ですよ。殺さない程度に痛めつけるのは、構いません。少し大人しい方が連れて帰りやすい。それが出来ればの話しですけどね」

「(な、なんだとぉ~。声が聞こえないかどうかだけで、何でこんなことするのよ!)」



フザケルナ!



 田崎は3人差し向けた。

 師範を見たが笑って時計を眺めていた。

 あたしは立ち上がり、呼吸を整え3人を睨んだ。



・・・手加減しないからね。



 男達がいっせいに殴りかかってきた。

 あたしは、後ろから来た男に回し蹴りをし、すぐさま正面を向いて肩膝をつき、体勢を低くして、相手がパンチをしてきた手首を掴みその流れに合わせて前方へ放り投げた。

 あっという間に2人を倒した。

 最後の男があたしの顔面にキックをしようとしてきて、あたしはすんでのところで両手でふさいだ。

 それでも勢いがあったため、あたしは後に倒れた。

 すぐに立ち上がろうとしたが、すかさず男が蹴りをいれてきた。

「(ウッ!)」

 あたしは痛みにたえながら横に飛んで一回転をし、相手との間合いをとった。

 ハァハァと肩で息をする。

「いかがです?田崎さん」

 師範が田崎に向かって話した。

 これ以上しても無意味じゃありませんか?

 という目付きだった。

「あぁ、まぁ、いいでしょう。やめろ」

 田崎は部下に向かって言った。

「欄。こっちに来るんだ」

 師範が呼んだが、あたしは無視した。

 腸が煮えくり返っていた。

 その様子を見ていた田崎は、あたしが本当に耳も聞こえないのだと勘違いをした。

「すばらしい。麟さん、疑って申し訳ない。さっそく取引をしましょうか」

 田崎はそういうとアタッシュケースを2個、部下に持ってこさせた。

「田崎さん。あの、インターネットよく出来ていましたねぇ。何件のサイトに配信したんですか?」

 師範は、また話しを事件に戻した。


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