運命が紡いだ物語
「確かに真司さんが見落としてしまったのはあみちゃがけがをした日だった。
でも、あみちゃんのけがが真司さんの医療ミスに影響してるとは言い切れない・・・。」

私がけがをした日に、父さんが医療ミス・・

やっぱり、同じ日だったんだ。

「父はどんな人だったんですか?
私は父に暴力を振るわれた記憶はないんです。
だから、背中の傷が証拠だと思ってました。
でもこの傷は父のせいじゃなかった。私は父のことがわからないんです。
教えてください。
父は本当はどんな人だったんですか?」

「真司さんは、あなたにも、姉さんにも暴力など振るってはいなかった・・。
あなたの背中の傷、それから無理心中をしたことから虐待があったかもって言われただけ。
私は姉さんから聞いてたから知ってる。」


虐待はなかった・・


その真実が雄一の救いだった。


「真司さんは、とてもいい人だった。
優しくて、思いやりがあって、面白くて、
それでいて、すごく正義感の強い人だった。
だからかな・・
真司さんは病んでしまったの。
自分の犯してしまったことにすごく負い目を感じてた。心が壊れてしまって目を離すと何をしでかすかわからないって姉さんが言ってた。
姉さんも真司さんも働いてなかったし、2人とももう限界だったんだと思う。」

・・・

私は言葉が出なかった・・

「そうだ。ちょっと待ってて。」

そういって望月さんは部屋を出た。
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