運命が紡いだ物語
「聞かせてください。お願いします。」

私は望月さんに頭を下げた。

「真司さんは、あなたが2歳の時に、担当してた患者さんを診察している時に症状を見落としてしまったの。
それで、その患者さんは自宅で症状が悪化して救急車で運ばれたんだけどお母さんも赤ちゃんも亡くなってしまったの。
そのことがあって真司さんは医者をやめたの。
でも、このことは病院関係者でも知ってる人はわずかだし、もちろん見落としたことはご遺族の方は知らないわ・・。」

陽向から聞いた話とまるっきり一緒だった・・

やっぱり、陽向のお母さんの担当医は父さんだったんだ・・

「父が医療ミスしたことに私のけがは関係ありますか?」

望月さんに一番聞きたかったのは、このこと。

「花!?」

翔大は驚いたように私を見た。

「けがのこと知ってたの?」

望月さんも驚いてるようだった・・

「はい。」

「そう・・。」

望月さんは目を閉じた。

すべてを言う時が来た。

そう自分に言い聞かせているようだった。

深く息を吸った望月さんは話し始めた。
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