運命が紡いだ物語
ブーブー

変なタイミングで鳴った携帯を見ると相手は咲野君だった。

「翔大。・・ごめん。電話だ。」

私がそういうと、翔大は何も言わずに部屋を出てくれた。

「もしもし」

咲野君が電話してくるなんて初めてで驚いた。

でも、わたしは今はどうしても気分が上がらなかった。

『もしもし。ごめんね。
突然電話しちゃって。
でもちょっと気になることがあって・・・。』

「気になること?」

『うん。何で牧原さんのことがばれたのか・・。俺も気になって考えてみたんだけど、もしかして・・』

私は、咲野君が考えてくれたことがうれしかった。

『牧原さんが俺に話してくれた時、俺ら校舎裏で話してたよね。
もしかしたらそこで話してる時にだれかに聞かれたんじゃないかな?って思ったんだよね。』

あっ・・・

「確かに。そうかも・・。」

『・・俺もさ、父さん亡くした時、いろいろ言われたんだ。
気にしてないって表では強がってたけど、正直つらかった。
傷口に塩を塗られてるような気分だった。
だからこそ、何かできないかって考えてたんだけど、俺にはこのくらいのことしかできない。
情けないよ・・。
でも、弱音を聞くぐらいなら俺でもできるから・・。』

「大丈夫だよ!」

心配かけたくなくて、私は精いっぱいの元気で言った。
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