運命が紡いだ物語
『強がらないで・・。』

咲野君の声は今までに聞いたことのないくらい弱弱しい声だった。

「咲野君?」

『牧原さんが、
「これからは一人でため込まないで誰でもいいからつらいことがあったら話して。」
って俺に言ってくれた時、すごい救われた。
だから今度は牧原さんの心を俺が助けたい。』

咲野君・・

「つらいよ・・。
今、すごくつらい・・。
学校に行って教室に入るのが本当に憂鬱。」

私の弱い心の言葉があふれ出した・・。

『牧原さん・・。』

「でも、私には咲野君も、翔大も、結愛もいる。
だから、明日も笑顔で学校に行けるの。
咲野君が隣の席で、どんなに心強いか・・。
大丈夫って言えるのは、咲野君たちがいてくれるから・・。」

そう、翔大と結愛と咲野君がいることがどんなに私にとって心強いか・・。

だから、私はそんな人たちのことを疑いたくないんだ・・。

『うれしい。
じゃぁ明日、笑顔で会おう。教室で・・。』

「うん。また明日!
今日は本当にありがとう。」

そういって電話を切った。

咲野君は本当に素敵な人だなぁと思える瞬間だった。
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