私の中におっさん(魔王)がいる。
第十一章・騎乗翼竜を見に行きました。
 朝食代わりの昼食は、干し肉をお湯で戻して煮た肉じゃがのような物と、玄米のような米と出汁の効いてるお吸い物だった。
 肉は少し硬かったけど、味は良かった。これはどうやら豚竜(とんりゅう)というドラゴンの肉らしい。聞いた話によると、河童の顔にライオンのような体で、尻尾はトカゲのように長い。そして色は緑らしい。一体どんなドラゴンなんだろう? 
 ラム肉のような味がするから、定期的に出てくるこの肉はずっと子羊なんだって思ってたから驚いた。

 ドラゴン肉というのはともかくとして、食が合うっていうのは本当にありがたい。これで食がまったく合わなかったらここにいること自体苦痛だったと思う。

 それでもやっぱり、そろそろ家に帰る手立てが欲しい。風間さん達にまかせっきりだけど、これ以上待てる気になれるかどうか。

「だって、退屈なのよね」

 私は開け放たれていた障子の向こうに視線を移す。美樹の木の葉もすっかり落ちて、今や枝にしがみついている葉はあとわずか。真っ赤だった色も全盛期を過ぎくすんでしまっている。

 縁側の屋根越しと庭の木の間から覗く狭い青空。
 なんだか、ここが監禁部屋に思えてきちゃった。

「だからと行ってむやみやたらに出歩いてゴンゴドーラに遭遇しても、私なんて食べられて終わりだしなぁ……」

 出るに出られない。

「誰か一緒についてきてくれれば良いんだけど、中々言い出せないんだよね」
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