Fall -誘拐-
「私・・もう・・何も喉が通らなくなって・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・え・・ちょっと・・西平さん?」
後から思えば、
“こんな時こそ歌で勇気づけるのがミュージシャンだろ!”と大反省だったけど、
僕はそそくさとギターと空き缶を片付けて、黒部さんの手を取って走り出していた。
事態が掴めなくてびっくりしていたかもしれないけど、
人気が全く無い、
暗い路地裏に入っていっても、
黒部さんは拒否する事なく、
黙って僕の後ろをついてきてくれた。
“ガラガラガラ!!”
「イラッシャイマ・・
アレ?ヤスシ ワスレモノ カ?
・・・ッテ!オトウサン!!
ヤスシ オンナノコ ツレテキタ!!!」
「ママさんお水出してあげて!
・・黒部さん、ちょっと席で待ってて。」
「・・??あの・・ここは・・?」
「僕のバイト先。小汚い場所でごめんね。」
「キタナイ トハ シツレイ ダゾ ヤスシ!」