Fall -誘拐-


―――――― 


「ヤッちゃんお疲れ~!」


「ありがと~!」


「・・あっ!500円玉入ってるじゃん!!」


「それ!たまたま拓郎ファンのおじさんが通りかかって入れてくれたんだ。」


「良かったね~!
・・・・・もう終わっちゃった?」


「リカが来るまで待ってたよ。

じゃあ聴いてください。
最後の一曲・・松山千春。」






どっちかから約束をしたわけじゃない。

でもリカはお母さんの看病に行った帰り、
いつも寄ってくれた。




どっちかから言い出したわけじゃない。

でも大変な事、辛い気持ちなら尚更、

千春を歌い終わった後、
リカは正直に吐露してくれた。






どっちかが申し込んだわけじゃない。

でもギターを片付けた後、

あの日のように・・・
僕達は手を繋いで路地裏へと入っていった。



「お待たせ!チンジャオロース定食 ご飯大盛りです。」


「ヤッちゃんにも分けてあげるよ!」


「・・そう思って二人前作ったつもりだったけど・・もしかしてこれじゃ少ない?」



平凡を嫌っていたはずだったのに、

いつの間にか・・・僕はこれ以上無い“幸せな平凡”を手に入れていた。





















< 129 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop