Fall -誘拐-


―――――― 


「棒々鶏 芙蓉蟹 回鍋肉 皮蛋豆腐!」


「アイヨー!
ヤスシ 餃子 青江菜 タノンダ!」



「・・・・・・・・?」



「ヤスシ!キイテル ノカ!?」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」





珍しく店内が満員の夜だった。


1社、履歴書が通って面接日が決まった夜だった。


早くその報告がしたい・・でも・・今日はここには寄らないはずの夜だった。



「・・・・・・リカ・・?」



「アッ!!ヤスシ!
コノ イソガシイ トキ ドコ イク!?」




気がつけば・・お店を飛び出していた。


どうしてそうしたのか、

たくさんの注文を受けて、
厨房はてんやわんやだったのに。


でも・・・何故か・・


“ヤッちゃん”


リカが僕を呼んだ気がした。



「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・気のせいか・・。」



お店に戻って、
ママさんからゲンコツを食らった後、

途中やりだったチンゲンサイに取り掛かった。







































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「え~今日のスタジオには現役の検察官をお務めの東山先生にお越し頂きました。

先生、お忙しい所ありがとうございます。
今日はよろしくお願い致します。」


「よろしくお願いします。」


「え~改めまして。
先日神奈川で発生した誘拐事件について、

先生と一緒に振り返っていきたいと思います。

え~画面右下に、神奈川県警が設置した情報提供ダイヤルを表示しています。

視聴者の皆様。

被害にあわれ、現在もその安否が不明となっている黒部リカさんについて。

目撃情報等がありましたらこちらのダイヤルまでお電話よろしくお願い致します。」


「身代金を受け取らなかった犯人としては、人質としての価値はもうありませんからね。

一刻も争う状況と考えています。」


「そうですよね・・。

え~コマーシャルを挟みまして、

神奈川県警が記者発表した内容を基に、

犯行の一部始終について東山先生の意見を交えつつお伝えします。」


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