幼馴染との正しい距離感
2
「…」

「具合が良くなったようには見えないけど
大丈夫?」

「…………大丈夫じゃ、ないかも……」



月曜の教室。お昼休み。


向かいで、おにぎりを食べていたミキちゃんが
一向にお弁当に手をつけない私を見て
怪訝そうな顔を見せた。



「……ねぇ、ミキちゃん
私とこーくん、今日どんな風に見えた?」

「え?急に何?
いつも通り、いちゃいちゃしてたでしょ」



呆れた様子で答えるミキちゃんに
私は内心、ほっとした。



……「いつも通り」に見えたなら良かった。





――あの日。あの後。




『……なーんて。びっくりした?』

『…………へ……?』



直前の真剣な表情が嘘だったように
こーくんは私に可愛らしい笑顔を向けた。

私は、そんなこーくんに呆気に取られて
間の抜けた声を返した。



私を軽く抱き締めたまま
床から起き上がると
こーくんは、ぱっと私から離れた。



『おしおきだよ。つむぎちゃん
これに懲りたら今度は気を付けてね?』

『お、おしおき……?』

『さてと、そろそろ寝よっか』

『え』

『じゃあ、つむぎちゃん
僕は客室使わせてもらうね
何かあったらスマホ鳴らして』

『え、あ、うん…』

『じゃあ、おやすみ。つむぎちゃん』

『お、おやすみなさい……』
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