midday crow
そんなときに、歓声が静まって、太陽の声が聞こえてきたのだ。

「──最後の曲になる。“コア”と名づけた」

“コア”──。

「大切な人たちを思って作った曲だ」

太陽の、温もりに満ちた声を聞いた瞬間、涙が一粒頬をつたっていった。

咄嗟に顔を覆う。

ああ──。

おまえはそういうやつだよな。変わらない。

知らず、唇に笑みが浮かんでいた。

顔を上げたときには涙の欠片もなく、いつものように飄々と、光輝は歩いていく。

絶えぬ温もりで、彼を待ってくれている人々のもとへ。
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