白井君の慰め方

「あ、白井の彼女」
「……違います」

だがしかしの、これだ。距離を取ると決意した途端にこの始末。なぜ私が知り合いでもない男子からこんな風に声を掛けられるのかといえば、原因はあのテスト週間の頭での出来事。完全にやらかした私による白井君への公開告白の他になかった。白井君が好きだよ〜と泣きながら訴えかけたあの事件が、テストが終了すると共に一斉に広まっただけの話だった。つまり身から出た錆。

「え!!じゃあ白井が相原さんを振ったの?!」
「振られてはいないけど」
「ええ!!!じゃあ、」
「付き合ってる訳でも無い」

何人と何回繰り返した事か。白井君って友達が多いんだなぁと改めて実感した。男女問わず知ってる人から知らない人まで尋ねてくる。勿論私の友達にまで伝わっていて根掘り葉掘り聞かれたせいで、結局先輩の話も一から十まで全て話し終える事となった。割と壮絶な日々だった。でもそれもまだまだ終わりが見えないみたいだ。

「ん?つまりどういう事?白井の返事待ち?」
「…待ってもいません」
「えーじゃあ嘘だったって事ー?」
「……」

嘘だったの?なんて言われたら、

「嘘ではないよ」

それを否定する事なんて出来ない。噂で流れている事は全て事実だし、白井君への気持ちだって間違いなく本物だ。

「でも付き合って無いし、返事も待ってないし、付き合うつもりも無いの」

全てが本当だからこそ、この先の事はしっかりと否定しなければならない。もう今ここでハッキリとさせよう。何回繰り返してきたのこのやり取り、ではない。そんな事を愁い、また被害者に回ろうとしている私が居る事はお見通しだ。終わりを待っていたらいけない。もう誰かのせいにするような卑怯な真似をしてはいけない。それがあの時先輩から教わった事の一つなのだから。
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