冬の王子様の想い人
「最初はナツと同じ反応をするナナが珍しくて興味を持った。でも嘘が苦手で真っ直ぐで、いつも明るく笑うナナに惹かれた。近くにいてくれるだけで嬉しくて、毎日会いたくて声が聞きたかった。気がついた時には引き返せないくらいナナが好きだった」

長い指が優しく髪を梳く。その間も私からひと時も目を逸らさない。


「もう決めたって保健室で言っただろ? 理由もナツも関係ない、ただナナだけが好きなんだ」

真っ直ぐすぎる想いに止まりかけていた涙が再び溢れた。胸が震えて言葉にならない。


「ナナは? 言っておくけどもう一生離さないよ?」


そんな甘い声で物騒な言葉を言わないで。
どうしてこんなにも私を甘やかすの。


「……当たり前、でしょ。私も離れないからね!」

可愛く言えない私にふわりと相好を崩す。その表情の変化にすらドキドキする。


「もう不安はない?」

髪にキスを落としながら尋ねられて、こくりと頷く。


「じゃあ公園の話、もう一回聞かせて? ナツは見つかった? ゆきちゃんは?」


声は優しいのになぜか視線が鋭い。……もしやまだ機嫌が悪い?


「えっと、ふたりとも見つからなかったんだけど……あの、もしかして怒ってる?」

私の腰をゆるく抱きしめたまま、雪華は深い息を吐く。
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