冬の王子様の想い人
「怒ってる。俺に黙ってしかも嘘吐いて、男を捜しに行ったから」


だから違うのに、ナツさんを捜しに行ったのに!


「公園で変な奴に目をつけられたり、言い寄られたらどうするつもりだったわけ? ナナ、自分の可愛らしさをわかってる?」

スウッと綺麗な目を冷たく細めて言う。


「可愛くないし、心配しすぎだよ。話しかけた人も皆、いい人だったよ?」
「……話しかけた?」

纏う空気がなぜか瞬時に剣呑なものに変わる。


「まさか聞き込みとかしてないよな?」

低い凄んだ声に背筋が寒くなる。絶対零度の眼差しに頷くしかできない。

「ご、ごめんなさい」

色々と言い訳したいけれど、さらに不機嫌になりそうなので素直に謝る。


「俺が毎日どれだけ心配してると思う? 誰かに奪われないかってどれだけ恐れてるかわかってる?」
「奪われるなんてそんなの、ありえないよ……!」

向けられる切実な想いに言葉がうまく紡げない。


「なんで? ナナはこんなに可愛いのに」
「可愛くなんか……!」
「可愛いよ。だからいつも気が気じゃない」

艶めく視線を注がれて反論できなくなる。


「今度から勝手な行動は許さないから」


甘い束縛を科す王子様に再び唇を奪われて、ゆっくりと目を閉じた。
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