冬の王子様の想い人
促されて恐る恐る後ろを振り返ると、周囲の視線をもろともせずに立つ氷室くんと目が合う。
改めて至近距離で見る顔はとても小さく、足が信じられないほど長い。もうなにもかも完璧すぎて溜め息しか出ない。
緊張と羨望が混じって無意識にしかめっ面を浮かべると、険しい表情を返される。
「……行くぞ」
耳元で囁かれ、その声にドキンと鼓動がひとつ大きな音を立てた。
昨日のように強引に私の右手首に触れ、歩き出す。梨乃以外のクラスメイトは呆気にとられた表情をしている。
「雪華、優しくな! くれぐれも無理強いするなよ」
事情を知らない誰かが聞いたら誤解を伴うような発言を、どこか間延びした様子で言う楠本くんが恨めしい。
「ちょ、ちょっと!」
我に返り、思わず抗議の声を上げる。
教室の外に出ると大勢のギャラリーがいて、皆、一様に驚いている。
この人、どれだけ注目の的なのよ……。
改めて王子様の人気に驚く。
「ひ、氷室くん、どこに行くの?」
既に西棟まで来ていて、すれ違う生徒たちが不思議な光景でも見るかのような視線を向けている。
「氷室くん、ちょっと離してってば!」
もう呼びかけて何度目になるだろう。
いい加減喉も足も痛いし、そもそも歩幅の違いを考慮してほしい。
改めて至近距離で見る顔はとても小さく、足が信じられないほど長い。もうなにもかも完璧すぎて溜め息しか出ない。
緊張と羨望が混じって無意識にしかめっ面を浮かべると、険しい表情を返される。
「……行くぞ」
耳元で囁かれ、その声にドキンと鼓動がひとつ大きな音を立てた。
昨日のように強引に私の右手首に触れ、歩き出す。梨乃以外のクラスメイトは呆気にとられた表情をしている。
「雪華、優しくな! くれぐれも無理強いするなよ」
事情を知らない誰かが聞いたら誤解を伴うような発言を、どこか間延びした様子で言う楠本くんが恨めしい。
「ちょ、ちょっと!」
我に返り、思わず抗議の声を上げる。
教室の外に出ると大勢のギャラリーがいて、皆、一様に驚いている。
この人、どれだけ注目の的なのよ……。
改めて王子様の人気に驚く。
「ひ、氷室くん、どこに行くの?」
既に西棟まで来ていて、すれ違う生徒たちが不思議な光景でも見るかのような視線を向けている。
「氷室くん、ちょっと離してってば!」
もう呼びかけて何度目になるだろう。
いい加減喉も足も痛いし、そもそも歩幅の違いを考慮してほしい。