冬の王子様の想い人
手を振り返して自身の靴箱に向かい、靴を履きかえて一番近い階段の前に向かうと雪華が待っていた。
「ねえ、ひとりで大丈夫だよ?」
今日も遠慮がちに言うと、雪華は軽く眉間に皺を寄せる。
「俺がナナを送りたいんだ」
通学を共にするようになってから、毎朝教室の前まで送ってくれる。
私たちの教室は離れているし、どう考えても遠回りだからいいと何回言っても譲らない。
『ナナは変なところで抜けてるから心配なんだ』
……余計なお世話よ。
『変な奴に捕まったらどうするんだ』
……この校舎の中で雪華以外の誰に捕まるのか教えてほしい。
言い出したら聞かないから受け入れてやって、本気でナナちゃんを心配してるんだ、と楠本くんは今日も困ったように言って、先に自身の教室に向かう。
『ナナちゃんは雪華にとって誰より特別なんだよ』
今日までに何度も楠本くんに言われたが、そんなわけはない。
ただ心配されているだけだって十分すぎるくらいに理解している。
「ねえ、ひとりで大丈夫だよ?」
今日も遠慮がちに言うと、雪華は軽く眉間に皺を寄せる。
「俺がナナを送りたいんだ」
通学を共にするようになってから、毎朝教室の前まで送ってくれる。
私たちの教室は離れているし、どう考えても遠回りだからいいと何回言っても譲らない。
『ナナは変なところで抜けてるから心配なんだ』
……余計なお世話よ。
『変な奴に捕まったらどうするんだ』
……この校舎の中で雪華以外の誰に捕まるのか教えてほしい。
言い出したら聞かないから受け入れてやって、本気でナナちゃんを心配してるんだ、と楠本くんは今日も困ったように言って、先に自身の教室に向かう。
『ナナちゃんは雪華にとって誰より特別なんだよ』
今日までに何度も楠本くんに言われたが、そんなわけはない。
ただ心配されているだけだって十分すぎるくらいに理解している。