溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜

扉の向こうには別世界が広がっていた。大理石の床はピカピカに磨き上げられ、天井は高く吹き抜けになっている。白を基調としたシンプルかつシックなイメージの素敵な空間。

タキシードやスーツ姿の男性や家族連れ、よく見てみるとテレビで見たことのある著名人や女優、俳優の姿がある。

皆楽しそうに歓談しており、私の頭は混乱するばかりだった。

「こ、これは?」

「Shino Hotelは俺の父親が経営するホテルなんだ。今日は創立六十周年の記念パーティーだよ」

「えっ!?」

Shino Hotelといえば世界的に有名な超一流ホテルで、海外セレブや大富豪たちを顧客に持つ業界一の売り上げを誇っているという。

凡人の私でも、それがいかにすごいことであるか理解できる。ただ思考が追いつかない。

修さんの父親が経営者?

「柚を巻き込むつもりはなかったんだが、あいつを見て考えが変わったんだ」

住む世界がちがいすぎて返す言葉が見つからず、オロオロすることしかできない。ここまですごい人だったなんて思いもしなかった。

「柚、俺に守られる覚悟を決めろ」

「そんなことを急に言われても、なにがなんだかさっぱりで……」

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