溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「この前こと、考えてくれた?」
クスクス笑いながら、髪を掻きあげる姿がなんとも色っぽい。
篠宮先生が言うこの前のこととは、三日前の出来事である。思い出して赤面してしまいそうになったけれど、意識を持っていかれないように頭を振った。
きっとからかっているだけで、本気で言ったわけじゃないんだから、忘れたフリをするのが一番いい。
私にだって小さなプライドはあるのだ。
「まったく覚えがありませんね」
「本当に?」
「はい、なんのことだかさっぱりです」
わざとらしく微笑まで浮かべて、大げさに肩をすくめた。
「そうか。では、改めてもう一度言うよ」
さっきまでの穏やかな笑みが消えて、口元に魅惑的な微笑みが浮かぶ。篠宮先生のまっすぐな眼差しに、ゴクリと唾をのみこみ言葉を待った。
「俺の婚約者になってくれないか」
「なっ!」
それなりに驚いたけれど、三日前ほどの衝撃はなかった。それでも信じられないし、突然こんなことを言うなんて正気の沙汰じゃない。