溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「オススメはサーモンとホタテのチーズクリームホワイトパスタだ。飲み物はスパークリングワインが絶妙に合う」
「じゃあ、それでお願いします」
そう伝えると、目の前に座る篠宮先生は片手を上げてスタッフを呼ぶ。蝶ネクタイ姿のスタッフがテーブルまでくると、料理と飲み物をオーダーした。
今日は篠宮先生は車ではないらしく同じくスパークリングワインをオーダーし、スタッフが引くと、突き刺さるほどの視線をこっちに向ける。
「で、さっきのはなんだ?」
「なにがでしょう?」
「とぼける気か? MIYAMOの男といただろう? なにを話してたんだ?」
ギクリとした。
やっぱり見られていたんだ。
向かい側のテーブルに頬杖をつき、逃さないとでも言いたげな瞳はまるで尋問だ。
「ただの世間話です」
「そんなふうには見えなかったがな。あいつは柚のなんなんだ?」
これ以上白を切るのは心許ない。
なによりも篠宮先生の目を見ていると、早く白状してしまったほうが楽になれるのではないだろうかとさえ思える。
「ただの……元恋人です。さっきは本当に大した話はしてないです」
「元、恋人……」
「まぁ向こうにとって、私は遊び相手だったみたいですけどね」
わざとらしく言って肩をすくめて見せた。
「ありえないな」
眉をひそめてぶっきらぼうな口調で吐き出された言葉には不快感が満載。
「そうですよね、私がすぐっ……いえ、宮本さんの元恋人だったなんてありえないですよね。もっと早くに自分が遊び相手だって気づければよかったんですけど」