こんな展開聞いてませんっ!~学年一の悪女がヒロインにポジションチェンジしたって本当ですか!?~

校舎は南から北に変わったので、慣れないトイレを探すのに手間取っちゃった。

すこし嘆息し、洗面所で手を洗う自分を鏡越しに見る。

そこに映るのは、ハニーピンクの髪をツインテールに結わえ、紫色の大きな瞳を瞬かしている少女がいた。小柄な体躯は庇護欲を掻き立て、小動物のようだ。

そう、この際だから言うが、私は可愛い。

だから、私の第一印象は男子は大半が可愛いで終わりだろう。
だが、それは男子だけの話だ。

女子だと話が違う。
ここまで回りくどく喋ってきたわけだけど。



つまり、私は性格が凄く悪そうな美少女な訳だ。


☆★☆★☆★☆★

少女漫画が好きだ。今も昔も。

一部でも良いから共感してくれると良いのだけど、私はそのヒロインと自分をリンクさせたりしていた。

なりたかったのだ。ヒロインに。

そう、なれなかったのだ。ヒロインに。

何故なら。
私に似ているキャラはどれも。どこをみても。


悪役しかいなかった。


いや、ホントに似てた。モデル私かなってレベルに。

「ねぇね、この人イケメンだね!」

毛先にいくほど色素の薄くなるピンクベージュの髪に、桜色の吸い込まれそうな瞳。
大人しそうな顔立ちは決してパッとしないというわけではなく、気品や初々しさを持った私とは真反対の可愛さを持っていた。


まるでヒロインのような。


それが私の妹、小花衣 璃桜(りおう)だった。

そして私は齢8歳にして悟る。
皆に好かれる妹はヒロイン。
女子に全く好かれ無い私は悪役だと。








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