花とバスケと浴衣と
行動力のある人ってこういう時にホントに困る…。金曜日にチーズケーキを持って帰った類先輩は、早速お祖母様に試食してもらい、お祖母様からキッチンを使う許可を得たという連絡が、土曜の朝に入った。まじかよ…。正気とは思えない、類先輩…。嬉しそうな声で電話がかかってきて、バイトの予定を聞かれ、あれよあれよという間に、木曜日の夕方お祖母様のお宅でスフレケーキを作ることが決定してしまった。
「ばあちゃんも楽しみにしてるから。」ウキウキした笑顔が浮かんでくるほどの浮かれた声の類先輩に、千花は頭を抱えたくなった。
「でも、夕方だと、お夕食の準備とかあるんじゃないですか。」正論を千花が言うと、
「大丈夫。夕めしは出前でも取ればいいし。」
「はい?」
「だって、冷めるまで待たなきゃいけないんでしょ?」
「まぁ、そうですけど。でも、そんな甘い匂いする中での食事ってどうなんですか?」
「じゃぁ、外に食べに行けばいいよ。ばあちゃんも一緒に。キッチン借りるお礼に、オレがご馳走する。これでどう?」もう無理だ。これ以上何を言っても類先輩は木曜日の夕方のケーキ作りを実行するのだろうと、千花は諦めた。
「はぁ…。お祖母様がそれで良いなら良いですけど。」
「最近近くに出来たレストランに行ってみたいって言ってたから、そこを予約しとくよ。」
「左様ですか…。」
「千花ちゃん肉料理大丈夫でしょ?」
「肉料理ですか?」
「うん。そこ、肉料理専門店だから。」
「…えっと、お祖母様と行かれるんですよね?」
「うん、ばあちゃんああ見えて、結構肉好きなんだよね。」
「…そうなんですか。それは別にいいんですけど、私は関係なくないですか?」
「は?」
「だから、類先輩とお祖母様でそのレストランに行かれるなら。」
「何で?一緒に食べに行こうよ。千花ちゃん肉嫌い?」
「いや、そういうことじゃないんですけど…。」
「ケーキ作ったらすぐに帰るつもり?ばあちゃんも夕食一緒にって絶対言うと思うけど?」
「いや、さすがにそこまでは…。」
「遠慮しないでよ。オレのわがままでわざわざ作りに来てくれる千花ちゃんへのお礼も込めてなんだから。」
「はぁ…。」だめだ、これももう決定事項だ…。類先輩って言い出したら聞かないタイプだな…。
「ね、じゃぁ決定ね。予約しとくから。あと、材料費もちゃんとオレに請求してよ。」
「それは大丈夫です。」
「それは駄目だよ。」
「夕食は類先輩がごちそうして下さるんでしょ?だからデザート分ぐらい私に持たせて下さい。」ここは絶対譲らないぞという意気込みで千花が言うと、
「千花ちゃんってホントそういうとこちゃんとしてるっていうか、頑固っていうか、流されてくれないよね。」呆れた声で類先輩に言われた。あなたにだけは言われたくない…。
「類先輩がそういうところ寛容過ぎるんですよ。そんな人に奢ってばっかりいたら破産しますよ。」
「ははは。破産って。家計は千花ちゃんに握ってもらえば安心だね。」大笑いしながら言う類先輩に、思わず千花は呟いた。
「学生時代から大盤振る舞いしてるなんて、働きだしてからが心配です。」
「大丈夫。オレには千花ちゃんがついてるから。」
「もう、何言ってるんですか。」
「頼りにしてますよ、しっかり者の千花ちゃん。」笑いを堪えながら言う類先輩に、
「類先輩、完全にバカにしてますよね…。」と少し怒った声を出すと、
「冗談です。ごめんなさい。怒らないで。」類先輩は少しビビってくれたようだった。
楽しい電話を切ってバイトに行く準備をしながら、千花は後一週間か…と思った。こうやって、類先輩と電話をしたり、会う約束をしたりするのもこの一週間で終わっちゃうんだなと思うと、胸が痛んだ。先のことを考えても仕方ない。最初からわかってたことなんだから、それよりもせっかくある今を楽しまなくちゃ。はぁと大きく息をついて、頬をペシペシと叩いて、気合を入れ直し、お化粧に取り掛かった。
「ばあちゃんも楽しみにしてるから。」ウキウキした笑顔が浮かんでくるほどの浮かれた声の類先輩に、千花は頭を抱えたくなった。
「でも、夕方だと、お夕食の準備とかあるんじゃないですか。」正論を千花が言うと、
「大丈夫。夕めしは出前でも取ればいいし。」
「はい?」
「だって、冷めるまで待たなきゃいけないんでしょ?」
「まぁ、そうですけど。でも、そんな甘い匂いする中での食事ってどうなんですか?」
「じゃぁ、外に食べに行けばいいよ。ばあちゃんも一緒に。キッチン借りるお礼に、オレがご馳走する。これでどう?」もう無理だ。これ以上何を言っても類先輩は木曜日の夕方のケーキ作りを実行するのだろうと、千花は諦めた。
「はぁ…。お祖母様がそれで良いなら良いですけど。」
「最近近くに出来たレストランに行ってみたいって言ってたから、そこを予約しとくよ。」
「左様ですか…。」
「千花ちゃん肉料理大丈夫でしょ?」
「肉料理ですか?」
「うん。そこ、肉料理専門店だから。」
「…えっと、お祖母様と行かれるんですよね?」
「うん、ばあちゃんああ見えて、結構肉好きなんだよね。」
「…そうなんですか。それは別にいいんですけど、私は関係なくないですか?」
「は?」
「だから、類先輩とお祖母様でそのレストランに行かれるなら。」
「何で?一緒に食べに行こうよ。千花ちゃん肉嫌い?」
「いや、そういうことじゃないんですけど…。」
「ケーキ作ったらすぐに帰るつもり?ばあちゃんも夕食一緒にって絶対言うと思うけど?」
「いや、さすがにそこまでは…。」
「遠慮しないでよ。オレのわがままでわざわざ作りに来てくれる千花ちゃんへのお礼も込めてなんだから。」
「はぁ…。」だめだ、これももう決定事項だ…。類先輩って言い出したら聞かないタイプだな…。
「ね、じゃぁ決定ね。予約しとくから。あと、材料費もちゃんとオレに請求してよ。」
「それは大丈夫です。」
「それは駄目だよ。」
「夕食は類先輩がごちそうして下さるんでしょ?だからデザート分ぐらい私に持たせて下さい。」ここは絶対譲らないぞという意気込みで千花が言うと、
「千花ちゃんってホントそういうとこちゃんとしてるっていうか、頑固っていうか、流されてくれないよね。」呆れた声で類先輩に言われた。あなたにだけは言われたくない…。
「類先輩がそういうところ寛容過ぎるんですよ。そんな人に奢ってばっかりいたら破産しますよ。」
「ははは。破産って。家計は千花ちゃんに握ってもらえば安心だね。」大笑いしながら言う類先輩に、思わず千花は呟いた。
「学生時代から大盤振る舞いしてるなんて、働きだしてからが心配です。」
「大丈夫。オレには千花ちゃんがついてるから。」
「もう、何言ってるんですか。」
「頼りにしてますよ、しっかり者の千花ちゃん。」笑いを堪えながら言う類先輩に、
「類先輩、完全にバカにしてますよね…。」と少し怒った声を出すと、
「冗談です。ごめんなさい。怒らないで。」類先輩は少しビビってくれたようだった。
楽しい電話を切ってバイトに行く準備をしながら、千花は後一週間か…と思った。こうやって、類先輩と電話をしたり、会う約束をしたりするのもこの一週間で終わっちゃうんだなと思うと、胸が痛んだ。先のことを考えても仕方ない。最初からわかってたことなんだから、それよりもせっかくある今を楽しまなくちゃ。はぁと大きく息をついて、頬をペシペシと叩いて、気合を入れ直し、お化粧に取り掛かった。