花とバスケと浴衣と
10. 浴衣コンテスト
翌日の朝、類先輩からメッセージが届いた。
「おはよ。昨日返事できなくてゴメン。いつの間にか寝てた。」
「おはようございます。ゆっくり休めたようで良かったです。」
「今日はバイト?」
「バイトです。」
「じゃぁ昼休み会える?」
「大丈夫です。」
「じゃぁ図書館のカフェで待ってる。」
「わかりました。2限目が終わったら行きます。」
「授業頑張って。」
「ありがとうございます。」
明日の打ち合わせかな?と思いながら、千花はいよいよ明日で最後なんだな…と思った。この一ヶ月類先輩と一緒に過ごして、色々あったけど、楽しかった。類先輩の色んな面が見れて、どんどん好きになった。明日で彼女役は終わってしまうけど、きっとこの気持はずっと持っていられる。初めて好きになれた人が類先輩で本当に良かったな、と千花は思った。明日が終われば、もうこうやってメッセージが来たり、お昼の約束をしたり、会ったりできなくなると思うと胸が痛いけど、昨日言われた通り、「土曜までは彼女役」をしっかり全うして、類先輩の隣にいられるキセキをめいいっぱい楽しもうと千花は思った。
一限目が終わる頃、類先輩からメッセージが届いた。
「お疲れ様。2限終わってからだと混むから、お昼、先に買っておこうか?」
「ありがとうございます。お願いできますか?」
「何が良い?」
「類先輩のオススメのカツサンド食べてみたいです。」
「了解。じゃぁ授業が終わる前にカツサンド2個とコーヒー注文しとくね。」
「ありがとうございます。お昼楽しみに頑張ります。」
「カツサンドそんなに食べたかったの?」
「カツサンドも気になりますけど…類先輩と会えるから。」恥ずかしいなと思いながらも思い切ってメッセージを送ると、
「オレも早く千花ちゃんに会いたい。」とハート付きで届き、千花はクスッと笑った。
2限が終わって、千花は急いで図書館へ向かった。休み時間のメッセージのやり取りを見ていたミマに
「恋する乙女だね。」と笑われながら、図書館の前で別れ、急ぎ足で階段を上った。混み合っているカウンター前を越えて、まっすぐいつもの奥の席へ向かうと、やはり同じ席にスマホを見ながら類先輩が座っていた。今日は食べずに待ってくれているようで、千花は急いで席に座った。
「お待たせしました。」
「お疲れ様。早かったね。」
「急いできました。」
「髪乱れてる。」笑いながら類先輩が千花の前髪を触った。千花が慌てて手ぐしで整えると、類先輩は笑って、
「さ、食べよ。」と千花にカツサンドを渡してくれた。
「ありがとうございます。いただきます。」
二人でカツサンドを頬張って、美味しいねと笑いあって食べた。千花は、何て幸せなんだろうと思った。今日のこのカツサンドの味、ずっと忘れない。明日のコンテストは14時からだが、午前中に浴衣を縫ってくれたお祖母様へのお礼を一緒に買いに行く約束をした。類先輩によると、お祖母様は先日急須の蓋が割れたとおっしゃっていたらしく、急須をプレゼントしたいらしい。どこへ行くべきか相談し、和雑貨屋を見て、なければデパートへ見に行こうという話に落ち着いた。

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