再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「緑ちゃんと美桜ちゃんに乾杯!」
副社長が持っていたグラス片手に音頭をとる。
今日は緑さんの送別会と私の歓迎会の日だ。
どうにか引き継ぎも終え、緑さんは有給休暇を消化して退職するので今日が最後の日。
ここはダークブラウンを基調とした木造のお洒落な居酒屋だ。
店内はテーブル席や個室があり、今日は大部屋の個室を貸し切っている。
掘りごたつということもあり、妊婦の緑さんもゆったりと座れている。
私は隅っこでいいと言ったのに「美桜ちゃんも主役なんだからダメ」と却下され、ど真ん中の席に座らされているので居心地が悪い。
緑さんが隣にいてくれるから心強いけど。
引き継ぎの関係で緑さんと一緒にいる時間が長く、必然的に距離が近くなった。
何でも相談出来てすごく頼りにしていた。
そんな緑さんとお別れなんて寂し過ぎる。
私は緑さんの後任でデザイン事務所に来たので最初から分かっていたことだけど、寂しいんだから仕方ない。
黙っていたら涙腺が緩んでしまう。
私の歓迎会も兼ねているのに……。
いろんな人が話しかけてくれるので、どうにか笑顔で答える。
「美桜ちゃん、飲んでる?ほら、新しいやつ」
副社長がビールのジョッキを渡してくる。
前にお酒で失敗している私としては断りたい。
だけど、緑さんが妊婦でお酒が飲めないから、私まで拒否するのは場の雰囲気をしらけさせるかなという思いがあり、それを受けとった。