再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「いや、そのことについては謝ってもらったから」
「じゃあ、美桜は許したの?」
「うん、まぁ」
許したけど、身体まで許したとは口が裂けても言えない。
さつきは真面目で曲がったことが大嫌い。
テツとのことを話したら『ふしだらだ』とか言われそうだし。
さつきの彼氏は公務員で、優等生タイプの人だ。
すごくお似合いで仲もいい。
来年のさつきの誕生日に結婚することが決まっている。
「それだったら私は何も言わないけど」
さつきは不服そうに口を尖らせる。
「それにしても、美桜って男運ないよね」
「うっ……それは言わない約束でしょ」
「だって、鳴海には暴言吐かれるし、初めての彼氏に二股されるとか最悪じゃん」
歯に衣着せぬ物言いに黒歴史が蘇る。
でも、訂正したい部分はある。
「ちょっと待って。アイツは彼氏じゃないから。私に付き合おうとか言ってて違う子にも同じことを言ってただけ」
「そうだっけ?」
「そうだよ。付き合う前にアイツの本性を知ってお断りしたから」
ホント、アイツはクズ男だ。
短大時代、友達に誘われて他の大学のサークルに入っていた。
その時に出会ったのが前田大悟。
見た目はお洒落な大学生だったけど、中身は最低だった。
騙されなくて本当によかった。
って、アイツのことを考えていたら美味しい料理も不味くなる。
さっさと存在を脳内から消し去り、つくねを頬張った。