再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

「美味い!」

そう声を上げたテツの口の端にケチャップがついてるんですけど。
なに、そのワンパクな姿は……。
普段の姿からは想像できない。

この年で口の端にケチャップとかつけないでしょ。
気づいていないのか、テツはケチャップをつけたままサラダを食べている。
あー、もう。

「ここ、ついてるよ」

左側の口の横を指差した。

「マジで?美桜、取って」

「はぁ?自分で取ればいいでしょ。口の左側についてるから」

どうして私がそんなことをしないといけないのよ。
バカじゃないの!
テツを無視してオムライスを食べる。

「えー、自分では見えないんだから取ってくれてもいいだろ。美桜のケチ」

悪態をついた後、舌を出して唇の左側をペロリと舐めている。
だけど、それはわざとなのか?と思うぐらい、全然取れてない。

「違う、もうちょっとほっぺ側」

私が指摘すると、ムッとして口を尖らせる。

「だから取ってって頼んだんだろ。見えないからどこについてるか分からないんだよ」

テツってこんなキャラだっけ?と首を傾げたくなるぐらいだ。
俺様な発言は健在だけど、その内容は可愛すぎる。
まだまだ知らない面があるんだなと思う。

私は席を立ち、ティッシュを一枚取りテツの口許を拭いた。

「取れたよ」

「サンキュ」

ホント大きな子供みたい。
ゴミ箱にティッシュを捨て、食事を再開させた。
< 80 / 153 >

この作品をシェア

pagetop