再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「美味い!」
そう声を上げたテツの口の端にケチャップがついてるんですけど。
なに、そのワンパクな姿は……。
普段の姿からは想像できない。
この年で口の端にケチャップとかつけないでしょ。
気づいていないのか、テツはケチャップをつけたままサラダを食べている。
あー、もう。
「ここ、ついてるよ」
左側の口の横を指差した。
「マジで?美桜、取って」
「はぁ?自分で取ればいいでしょ。口の左側についてるから」
どうして私がそんなことをしないといけないのよ。
バカじゃないの!
テツを無視してオムライスを食べる。
「えー、自分では見えないんだから取ってくれてもいいだろ。美桜のケチ」
悪態をついた後、舌を出して唇の左側をペロリと舐めている。
だけど、それはわざとなのか?と思うぐらい、全然取れてない。
「違う、もうちょっとほっぺ側」
私が指摘すると、ムッとして口を尖らせる。
「だから取ってって頼んだんだろ。見えないからどこについてるか分からないんだよ」
テツってこんなキャラだっけ?と首を傾げたくなるぐらいだ。
俺様な発言は健在だけど、その内容は可愛すぎる。
まだまだ知らない面があるんだなと思う。
私は席を立ち、ティッシュを一枚取りテツの口許を拭いた。
「取れたよ」
「サンキュ」
ホント大きな子供みたい。
ゴミ箱にティッシュを捨て、食事を再開させた。