【短】君と、もう少し
それから、私と鳴海先輩は少しずつお互いのことを知るようになっていく。
たとえば、ベタだけど…どんな食べ物が好きかとか。
犬派か猫派か、とか…。
そんな、些細なことが、楽しくてくすぐったくて、私は幸せで満たされる。
あれから淳太とは、一度も話していない。
というか、どちらからともなく避け合っていた。
本当ならこのままじゃいけない、そうは思うけれど、あの1件から…淳太に対して恐怖心が芽生えてしまい、何とも出来ずにいる。
私は、それを素直に鳴海先輩に相談してみた。
そうしたら、鳴海先輩はにっこりと笑って、ぽんぽんと私の頭を撫でる。
「大丈夫。遥ちゃんが気にすることは何もないよ」
その温かく大きな手に、私は片目を瞑って応えていると…。
「ねぇ?今度からさ、遥って呼んでもいい?」
と、聞かれた。
私がきょとんとすると、鳴海先輩は少しだけ顔を赤くして、自分の髪をくしゃくしゃと掻く。
「だから…俺の事も孝介って…呼んで?」
「鳴海先輩…」
「違うよ…ほら…呼んで?孝介って」
「え、あの……こ…こ、うすけ…せんぱ…い?」
「んー…ま、いっか。でも早く慣れて?じゃないと、寂しくてお仕置きしそう…」
「〜〜?!」
「うーそ。ただ、俺がキスしたいだけ」
「も、もう!」
そんな会話のやり取りを近くで聞いていたらしい、舞に私はその日、屋上へとランチに誘われた。
…と言っても、購買のサンドイッチとオレンジジュースだったけれど…。