飛鳥くんはクールなんかじゃない



「あっ!はいはーい!あたし、華原凛。凛でいいわ。で、この子が佐藤花帆」

「よろしくね、一華ちゃんっ。私も花帆でいいよ!あ、掘田くんは気にしなくていいからね〜」

「佐藤ちゃん、だんだん俺への当たりキツくなってない?」


そんな彼女を助けるかのように凛ちゃんと私で間に割り込んで、一緒に初めましてのご挨拶。




「海くん、凛ちゃん、花帆ちゃん……。よろしくお願いしますっ!」


少し恥ずかしそうにはにかんだ一華ちゃんは、やっぱりどこからどう見ても美人で可愛らしい。



私たちにペコリとお辞儀をした一華ちゃんの視線は、次に飛鳥くんに向いた。



「あっ、あの……!」


興味なさそうにどこか違うところを見ていた飛鳥くんは、一華ちゃんのその声に振り返る。




「お名前、教えてもらえませんか?」


飛鳥くんだけまだ自己紹介をしていないからだろう。一華ちゃんがそう言うと、飛鳥くんはめんどくさそうに「……渡飛鳥」とだけ口にした。



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