飛鳥くんはクールなんかじゃない
「……徹底し過ぎでしょ、渡くん」
「あ、あの〜……凛ちゃん?おーい」
呼びかけてみても、凛ちゃんは完全に自分の世界に入ってしまっている。
ようやくノートを開いて自分の勉強を再開しようとしたけれど、持ったペンは進まずに止まったまま。
……もし、飛鳥くんに彼女ができたら。
いままで考えたこともなかったから、そんなこと想像もできないけれど。
こうしてテスト期間に一緒に登校したり、廊下で会ってお喋りしたり、飛鳥くんが私の部屋に来たり。そんなことができなくなっちゃうのかな。
飛鳥くんの表情の違いとか、優しいところとか、私よりも彼女さんの方が知っていくんだ。
飛鳥くんもその子に笑顔を見せて、私とは話す機会も減って……。
「……イヤかも」